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ひろしま旅行記(その2)

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 翌日僕は、8時過ぎっていう遅めの時間に起きたんだ。その日は回る予定の場所が少なかったからね。それに前日の夜に1時半までフットボールの試合を見てたんだ。イングランド、プレミアリーグのね。まあそれはともかく、その日はすごくいい天気で観光日和だった。でも天気予報を見ると翌日が雨の予報に変わってた。これには僕も参ったね。だって翌日にはこの旅のメインとも言える宮島観光を予定していたからね。そこで僕は予定を変えてその日に宮島に行こうと決心したんだ。ホテルから電車とフェリーを使って宮島まで行ったんだよ。
 宮島には野生のシカが町を普通に歩いてて、そこで僕は奈良の興福寺を思い出したんだ。

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         二頭のシカの間に見えるのが厳島神社の大鳥居

 宮島の一番の見所は、やっぱり厳島神社で、僕は早速そこに向かったわけだ。事前に満潮と干潮の時刻を調べて行ったんだけど、予定をいきなり変えたせいで、大鳥居に着いたときには満潮時間を10分ばかし過ぎていた。まあほとんど影響はないと思ったけど、気のせいか水の嵩が思ったほど多くなかったね。見たかったのは干潮だったから全く気にはしなかったんだけどね。

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 神社にはディズニーランドほどじゃないけど―実際ディズニーランドの混んでることと言ったら田舎から来た人なんかには驚愕するほどのものだからね―それなりの人数はいたんだ。彼らはそのご自慢のカメラを構えて気でも狂ったかのようにバシャバシャ写真を撮りまくるんだ。これには参ったね。どうもガイドブックにのったりなんかしてるああいう典型的な写真を撮りたいらしいんだな。失望させるようなことかもしれないけど、僕だって例外ではないんだよ。なぜだか何度もガイドブックやなんかで見ている景色や建物であっても、いざ目の前にすると、とっても写真を撮りたいような衝動にかられるんだ。しかも悪いことには、どうやら僕には写真のセンスっていうやつが欠けているらしくて、芸術的な写真なんか一枚も撮れやしないんだ。まあ全然気にしちゃいないけどね。
 
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 そうして厳島神社を出た僕は、次に弥山っていう山を登ることを決心したんだ。僕は実は登山が好きなんだ。自分の足で都会の近代的人工物の一切ない自然—そこにはインチキなんてものは本当に全くないんだ―に入っていってたくさん汗をかき、登りきった者だけが見ることのできる景色を自分の目で確かめる。登山の良いところを聞かれたら適当にこんなことを言うけど、実際にはこんなことを考えたことはない。ただ好きなんであってそれだけさ。だけど弥山は、ロープウェイを使わない道は片道2時間とかかかるらしくて、これは確実に登山を目的に来ている人の選択肢であって、観光を目的に来ている人の選択肢には入り得ないものだった。だから僕は迷わずロープウェイを使うことにしたんだ。ロープウェイに乗るまでにも少し歩く道があって、そこで僕はシカの親子に出くわした。

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 子供の方はやっぱり落ち着きがなくてちょこまかと草を食べるのに動き回ってた。でも親のシカからは離れないんだな。
 それからさらに僕はロープウェイの所まで歩いて行ったんだけど、途中で年輩のおじさんがロープウェイまでハイヤーを頼んでいるらしき電話をしてるのには驚いたな。
 それから僕は、ロープウェイを2本乗り継いで頂上付近まで登っていったんだ。ロープウェイからの景色は、自然がいっぱいで、日本にもまだ自然はたくさん残ってるって思えるくらいのもんだった。それは僕も認めないわけにはいかない。ロープウェイを降りてからの道はそんなに険しくはなくて片道30分の道は15分で行けたな。でもその速さは、受験勉強明けの僕には少しキツかったと見えて、登り終えたときには、息も切れたし、汗もかいたんだ。
 で、頂上まで登り終えたんだけど、頂上からの景色は雄大だった。まあ例によって写真を撮ったんだけど、とにかく一定の対象物ってものがないからさ、たとえ後にそれを見ても何を撮ったんだかよくわからない写真になっちまうんだ。景色がフレームに収まらないってことだね。

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 頂上にもシカはいたんだけど、彼らは頂上の売店で買ったアイスを食べている観光者に「そいつをよこせ」ってねばってるんだな。まるでうちの犬にそっくりさ。

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 でもさすがにここまで登ってきた人たちには良識があると見えて、食料を与えたりはしないんだ。近所の迷惑も考えず野良猫にエサを与えるクソタレな都会のインチキ野郎どもとは大違いさ。でもまあ頂上にも「ヤッホー」だとかなんだとかバカ騒ぎしている阿呆な学生もいたんだけどね。

by writingkids | 2010-04-02 17:06 | 長男「ササニシキ」のコーナー